スクワットで鍛えられる筋肉とスクワットで大切な3つのポイントとは?
2019年11月12日放映されたTBSテレビ「名医のTHE太鼓判!」に吉田が撮影協力しました。番組では伝えきれなかった正しいスクワットのやり方を解説します。
誰でも一度はやったことがある「スクワット」。筋力トレーニングの代名詞のような運動ですが、間違った筋肉の使い方は「ケガのもと」になります。今回は、スクワットの正しいやり方をご紹介します。
スクワットとは?
スクワットとは、上半身を立てたまま行う膝の屈伸運動の総称です。下記の写真のように頭の後ろで手を組んだり、手を前に伸ばしたり、胸の前で手を組んだりしながら行います。
また、パワーリフティング競技の種目のひとつとして、バーベルで担いで行う場合もあります。トレーニングジムなどでも行われている運動です。
スクワットの効果
パワーリフティング競技の1種目となっていることからも分かるように「筋肉」をつけるために有効な運動です。特に下半身の大きな筋肉を鍛えることができます。
スクワットの魅力は、「大きな筋肉をいっぺんにたくさん鍛えることができる」ことにあります。一般的に、大腿四頭筋、ハムストリングス、大殿筋が鍛えられると言われています。
この記事の後半に、「筋電図(きんでんず)」という装置を使って、スクワットをしている時にどこの筋肉を使っているのかを調べた結果を載せています。
スクワットで大切3つのポイント
非常に筋トレとしては魅力的なスクワットですが、間違った方法で行うと、狙った筋肉を鍛えられないばかりが、腰痛や膝などのケガにもつながります。下半身に強い負荷をかける運動ですので、やり方をしっかり知って行いましょう。
スクワットは、
- ① 姿勢
- ② 重心位置
- ③ 左右対称
の3つのポイントが大切です。ひとつずつ解説していきます。
① 姿勢
どんな運動にも言えることですが、運動を行うときの姿勢が大切です。一般的に「良い姿勢」とは、下記の写真のように、立った姿勢で耳たぶ、肩先、大転子、膝関節の前側、外くるぶしの前側が一直線になっていることです。
極端に頭が前に出ていたり、腰がのけぞった姿勢でスクワットを行うことで、肩や腰に負担をかけてしまうので注意しましょう。
② 重心位置
次に重心の位置です。立った姿勢では、カラダの真ん中に重心があることが大切ですが、スクワットのときもカラダの真ん中に重心があることが大切です。
人間は、両足が地面と接しています。その地面と接している部分全体を「支持基底面(しじきていめん)」と呼びます。この支持基底面の真ん中に「重心」がある姿勢が望ましいです。なぜかと言うと「安定している」からです。
左の図では、支持基底面の真ん中に重心があります(物の重心を質量中心とも言います)。これが一番安定した状態です。
中央の図は、支持基底面の外に倒れそうになっていますが、重心位置が支持基底面の中に入っているので倒れません。
右の図のように支持基底面の外に重心が出ることではじめて倒れます。
スクワットなどの運動では、支持基底面の中(真ん中近く)で、運動をすることが大切です。
そのためにも知ってもらいたいのが、カラダの重心の位置です。実はカラダの重心の位置を調べる簡単な方法があるのでご紹介します。
カラダの「みぞおち」と「太もも中央(やや上)」をまず探してみましょう。探せたらそれを結んで、その中点を見つけます。その中点こそカラダの重心の位置です。
カラダの重心の位置は、姿勢を変えることで移動します。
カラダを前屈もしくは後屈してみてください。前屈したときに重心位置が支持基底面の後ろの方に移動するため、かかとの方に体重が乗ります。一方、後屈したときには、カラダの重心位置は前の方に移動しますので、つま先の方に体重が乗ります。
スクワットをしているときには、下記のような重心位置となります。
膝を曲げた状態での重心の位置は、「おへそのちょっと前」の位置に重心が移動します。この位置は、足のちょうど真ん中あたり(外くるぶしの前側)となります。
この位置で、膝の曲げ伸ばしすることがポイントとなります。スクワットしたときに、つま先に体重が乗っていませんか?もしくは、かかとに体重が乗ってしまっていませんか?
③ 左右対称
最後のポイントは、「両足に左右対称に体重を乗せる」ことです。下の図は、三次元動作解析装置というものでスクワットしているところを撮影したものです。
足の部分に矢印が示されていると思うのですが、その矢印の長さが、体重が乗っている強さを示しています。左右の足に同じだけ体重が乗せられることで、支持基底面の真ん中に重心を落とすことができます。
極端にどちらか片方の足に体重を乗せてスクワットしてしますと、ケガのものになったり、カラダのバランスを崩してしまうことにもつながります。
スクワットで鍛えられる筋肉
スクワットで鍛えられる筋肉として、大腿四頭筋、ハムストリングス、大殿筋などが鍛えられます。そのほかにも使っている筋肉がたくさんあるので、筋電図という装置を使って調べてみました。
私が行った筋電図は、「表面筋電図」というものです。皮膚に電極を貼って、どの筋肉を使っているのかを調べる方法です。
今回、8個の筋肉に電極を貼って調べてみました。電極を貼った場所は、イラストの通りです。
今回の結果では、大殿筋というお尻の筋肉、内側広筋・外側広筋という太もも前側の筋肉、外側ハムストリングスという太ももの筋肉、前脛骨筋というすねの筋肉の計5つの筋肉を使っていることがわかりました。
間違った姿勢でスクワットしてませんか?
ちなみに間違った姿勢でスクワットした時の筋電図も撮ってみました。のけぞった姿勢でスクワットすると、
お尻の筋肉は、使わず、腹直筋という腹筋を使っています。また、太ももの前側の筋肉である外側広筋、脛の筋肉である前脛骨筋がかなり頑張っています。カラダの前側の筋肉を使いすぎたやり方になってしまっているので、注意が必要なスクワット方法です。
下記も参考にしてみてください。
中央の図のように、真ん中に体重が乗っていると、カラダの前面と後面の筋肉がまんべんなく鍛えられます。
一方、左の図のようにつま先に重心が乗った姿勢でスクワットをすると、カラダの後面の筋肉に負担がかかります。
右の図のようにかかとに重心が乗った状態でスクワットするとカラダの前面の筋肉に負担がかかります。
正しいスクワットのやり方で、下半身の筋肉を効率よく鍛えましょう。