鎖骨ほぐしを徹底解説! – 日テレ「世界一受けたい授業」
理学療法士・医学博士の吉田一也です。
みなさん、世界一受けたい授業はいかがでしたか?
収録は、テレビで観たことのある方々ばかりでしたので、自分がテレビの中に入り込んだような不思議な感覚でした。このような番組出演は、もしかしたら一生の一度のことと思って頑張りました!
放送を見逃した方は、TVerやHuluで視聴可能ですので、ぜひ観ていただけたら幸いです。
今回の記事では、
日本テレビ「世界一受けたい授業」にて、私が講師として説明した肩こり改善法「鎖骨ほぐし」
についてご紹介します。
それでは、「鎖骨と肩こりの関係」、そして「鎖骨ほぐしのやり方」についてご紹介します。
肩こりと鎖骨の関係性
日本人の6割が自覚していると言われる肩こりは、もはや国民病といっても過言ではありません。そんな肩こりと、実は関係が深い骨が、首元にある左右二本の骨「鎖骨(さこつ)」です。鎖骨は、様々な肩の動きに使っている骨です。この鎖骨の動きが悪いと肩の動きも悪くなり、肩こりにつながります。
鎖骨の基礎知識
鎖骨は、胸骨(きょうこつ)と肩甲骨(けんこうこつ)をつなぐ骨です。腕の骨でおなじみの上腕骨(じょうわんこつ)は、胸の部分である体幹(たいかん)とは直接つながっておらず、鎖骨が唯一体幹とつながっています。
鎖骨は、体幹と腕との橋渡しをしてくれている骨であるため、この骨の機能が低下してしまうと、一気に肩が動かしにくくなります。
肩こりを改善するためにも鎖骨の動きを理解し、効率良く動かせるようになることが必要です。鎖骨は、全部で6つの動きをします。
肩甲骨とくっついている部分の動きをイメージしてみてください。
鎖骨が前に出る動きを「前方牽引(ぜんぽうけんいん)」と言います。逆に、後ろに引く動きを「後方牽引(こうほうけんいん)」と言います
鎖骨が持ち上がる動きを「挙上(きょじょう)」と言い、下がる動きを「下制(かせい)」と言います。
鎖骨が前側に回転する(ねじれる)ことを「前方回旋(ぜんぽうかいせん)」と言い、後ろ側に回転する(ねじれる)ことを「後方回旋(こうほうかいせん)」と言います。
鎖骨の動きは、この6つの動きで説明できます。この動きを巧みに使い、腕の動きを助けているのです。
鎖骨触れますか?
鎖骨の動きを感じるためにも、鎖骨の位置を知っておくことは大切です。鎖骨は、のどぼとけを触り、下に手を滑らせていくと固い骨に触れられると思います。その骨が胸骨で、胸骨を触った手を左右に滑らせると、鎖骨を触ることができます。
さらに、鎖骨を肩の方に向かって触って行ってみましょう。ちょうど真ん中あたりで少し後ろの方向に曲がっていきますが、肩先の方まで触れると思います。
ちょっとした豆知識として、鎖骨にくっついている筋肉も覚えてしまいましょう。鎖骨についている筋肉は多くなく、全部で4つしかありません。
鎖骨の上側に胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)と僧帽筋上部線維と言う2つの筋肉があります。そして、鎖骨の下側に大胸筋鎖骨部(だいきょうきんさこつぶ)と三角筋前部線維(さんかくきんぜんぶせんい)と言う2つの筋肉があります
鎖骨ほぐしでは、この4つの筋肉を柔らかくして、肩を動かしやすくします。
腕を動かすと鎖骨が動く?
せっかく覚えた鎖骨の位置ですので、一緒に鎖骨の動きも感じてみましょう。鎖骨の上に手を当てて、腕を持ち上げたり、横に開いたり、背中に手を回したりしてみてください。鎖骨を触っている手の下で鎖骨がグニグニ動くのが感じられると思います。
鎖骨ほぐしのやり方
①つまんではがす
では鎖骨の位置、くっついている筋肉、動きを理解した上で行う「鎖骨ほぐし」の方法をご紹介します。
鎖骨は日常生活の中でたくさんの「圧迫」を受けている部分です。ランドセルやリュック、バッグなどを肩に背負っているところを想像してみてください。ちょうど鎖骨を押しつぶすのがわかると思います。鎖骨は小さい頃からたくさんの圧迫を受けている部分なのです。
「鎖骨ほぐし」では、まず鎖骨を圧迫から解放してあげるために、鎖骨に張り付いている皮ふをつまんで、はがしていきます。つまむ場所は、鎖骨の上部分。ちょうど胸鎖乳突筋と僧帽筋上部線維の上です。筋肉をつままないように注意しながら、皮ふだけをつまんでみてください。
このときに痛みが出る人は、皮ふと筋肉(鎖骨)がかなりくっついてしまっています。少し時間をかけてはがしていきましょう。徐々につまんでいけば、痛みが出なくなります。
同じ要領で、鎖骨下の大胸筋鎖骨部と三角筋前部線維の上の皮ふをつまんではがしていきます。
筋肉の位置が正確でなくても大丈夫です。鎖骨の上側と下側の皮ふをつまんで、固いところ、痛いところをつまんで柔らかくしていってください。
②鎖骨を動かす
鎖骨付近の皮ふを柔らかくした後は、「鎖骨を意識した肩の運動」を行います。日頃意識して使わない鎖骨を意識的に使っていきます。
まずは、鎖骨の前方および後方牽引運動です。鎖骨の後方牽引は、腕を外側にねじりながら胸を張ります。そうすることで、鎖骨を後ろに引くことができます。
逆に鎖骨の前方牽引は、腕を内側にねじりながら胸の前で合わせ、肩を前に出します(図7参照)。そうすることで、鎖骨を前に出すことができます。
次に鎖骨の挙上と下制の運動を行います。少し下を向きながら肩をすくめます。そうすることで、鎖骨をうえに持ち上げることができます。
逆に、少し上を向きながら肩を押し下げます。そうすることで、鎖骨を引き下げることができます。
以上になります。 そんなに難しい動きではありませんが、鎖骨を意識して行うことで、格段に肩の動きがスムーズになります。回数は、それぞれ5〜10回程度ずつ行ってください。痛みを感じない程度で、気持ちのよい範囲で行ってください。